永久アリス#1-#13

フィクションオブジイヤー.僕らが生まれてから死ぬまでに誕生日を祝う年月と宗教的な物語が伴うように,フィクションの彼ら彼女らはどこから来てどこへ行き,何を祝い何を弔うのだろうという話を誠実に語ればこんな風になるのではないか,と僕は思います.

僕なりの言葉を用いるとすれば,四葉は神話の中へ旅立ったのであるし,永久アリスの#13というのは彼ら彼女らのヴァルハラであったり.そのヴァルハラにおいて,タキオンが「みなさんのーーーーしあわせーをーーいのっていーまーすー」と唄うのには,子安武人はこの科白のための配役かとさえ思わせる,ひょうきんな,不幸をかわしてゆく感じがあってね.いろいろあったとしても,最終回のその先や,僕がいつか今ほどの情熱を持てなくなってしまうその先にも,どこかでこんな風に軽やかに楽しく生きていてほしい,そう祈りたいわけで.

あと,13話かけての兄妹の旅路がとても好きだったわ.こんな妹や兄でありたい.

(追記)高橋なの「そしてキミに会いに行く」にあるような,キャラクターとのふれあいが何らかのかたちでずっと続いてゆく気持ちっていうのを,放映なら放映が,連載なら連載が終わった直後には信じることが難しくて,時間を信用していいのかな.だって,明日にはまた新しいひとを好きになっちゃうんだから.今年でガンダムZZが20周年を迎えていまして,僕は結果として20年の間エルピー・プルを忘れたことはなかったわけで,僕が彼女を知った11歳の頃に出会ったほかのひとたち,友達や先生について覚えていることがそう多くはないのと比べるならば,これはたいしたことであるようにも思うのです.だけどそれはまた次の20年についても同じ程度に起こり得るのかしら,歴史を信じていいのかしら,やっぱり自信がないのだけど,11歳の僕は31歳の僕を予想できなくて,ましてや31歳の僕がどんな風にエルピー・プルのことを想っているのかなんて判らなかった訳で,51歳には51歳なりのキャラクターに対する敬意が,きっと持たれているのだと思いたいです.

疏水太郎