竹宮ゆゆこ「わたしたちの田村くん(2)」

会えない間の気持ちを綴ると一冊の本になっちゃいました,というような一冊.人は会話しないほうが饒舌であって,僕としては田村くんが松澤と会話できない分だけたくさん田村くんの声を聞いたように思った.

今日,幸運にも季節の服がどわっと増えて,貴理ごっこすら出来そうな勢いとなった.あるいは相馬ごっこと言ってもいい.あーん,あしたどれ着てゆけばいいのー,と床に並べる切なさよ.あしたのことを考えるのもまた饒舌.あしたと会話は出来ません.

伊欧の振る舞いが高浦くんに未成熟として見透かされているのがちょっと嫌であった.見透かされるのは前回と同じであるのだけど,僕のほうがこのところ自分が伊欧のような立ち位置であるように思うから,舐めるような愛しさが傷穴から溢れ出た.

涙夜