男の子へ視線が向けられるなか,女の子を脇見するとき

このへんの話の続き,あるいは近頃創作された記憶として.

男女問わず普通の読み方をしていれば,アーシアンならばちはやと影艶の関係を,東京BABYLONならば昂流と星史郎さんの関係を気に掛けるものだと思われます.ちはやと影艶が結ばれた夜には喝采をあげたものでね.ただそれは女の子の特権に足を踏み入れているような気もしてしまって,だからそのくせ僕がときどき武者小路美幸やら皇北都(僕にとって伊藤美紀は北都の声として認識される)のような女の子のことを憧れるような目で見てしまうのは背信行為をしているようで,誰に? 姉に? あるいは姉の向こう側に広がっているに違いない何か僕では理解しきれない本当の世界に対して後ろめたかったのでした.長野まゆみでいえば,「夏期休暇」(関係ないと思うけど千波矢という名の少年が出てくる)では桂ねえさんのことも気になってしまったり,「八月六日上々天氣」の珠紀さんはとてもうつくしい人であると思えたりするのが裏切りでね.大学生になってからようやくそこんところ開き直ることが出来るようになったのでした.

余談ですが,ある日,爆弾が落ちてきたときの奇抜という言い方は,「八月六日上々天氣」のために発見されたものです.この場合,奇抜だけど同じ強度を持った消滅は他にないと思うのです.

疏水太郎