矢神由梨子.サナララ,という音の並びは一見無意味であったわけですが,椎名希未や三重野涼の話が寄って立つ無意味さ,いやつまり寄って立たないそれら,例えばよく知らない人と屋上で会ったとか靴紐が変な風に結ばれてたとかそういうことが彼ら彼女らにとってどうしてだか劇的に感じられたことに比べると,答え合わせが可能な意味のある音の並びでありました.コミュニケーションが成立することによるコミュニケーションがあっても良いのかもしれないっていう,それはおとぎの国の呪文ですか?
別れの挨拶が呪文でないわけはなくて,さよなら,という言葉はよくそんな風に捉えられていて,かつて,さよらな,と言った女の子も居ましたね,とか,なにかと喚起力の高い音の並びであることは間違いないと思われます.
それはそうとしてやはり,第1話と第3話のエピローグにおいてこの人たちが突き動かされる気持ちの,どこへも帰結し難いような様子が好みです.
疏水太郎