父の四十九日のため実家を整理していました.たくさん人の出入りがあるのに家じゅうジャングルでね.共働きの家庭なんてそんなものだと思うのですが,これからは僕もたびたび帰るだろうし,母も友達をお茶へ招くことができるような余裕のある家になればいいねと.
トラックに山盛りほどのものたちを積み上げて,ちょっとは違ったおうちになりました.あいかわらず姉は本や雑誌を減らす気配がありませんが,紙は女の命ですから,かわりに僕が持ってたものを全部捨てました.えらいえらい.そして,扉を直角に開いたり脛をぶつけずに歩くことのできる幸せ.
古いスケッチブックが10冊ほど出てきました.10年くらい前のやつ.いまの絵柄より断然かわいいのでがっかりしました.あまりにかわいかったのでこれは京都へ持ってきました.絵だけじゃなく古い文章もたくさん出てきました.いまの文章より断然わけわからんのでがっかりしました.書評といえば読んだ本の内容とはかけ離れたような,夢の国で見てきたような話ばかり書かれています.そりゃ今も変わらんというのはもっともですが,なんだろう,駄洒落が足りてないんじゃないかな.こんなの目を通して下さってた先輩方にはたいへん申し訳なかったです.
10年前の文章を読んで苦笑する僕の背中に,10年後の僕が今の僕の文章を読んで笑っていました.僕ら苦笑いを幾つも積み重ねて,僕の背中のそのまた向こうに,父や,また父たちが.
疏水太郎