見るべき程の事をば見つ

魂のファーストプレイはネオロマンス史上おそらく最も凄惨なエンディングでした.遙かなる時空の中で3本編で良い男っぷりを見せてくれた平知盛でしたが,八葉でないため結ばれるはずもなく,希望を託した外伝,十六夜記では壇ノ浦での知盛との邂逅,彼の胸へ飛び込んでいったわたしはこれまで仲間であった八葉を全て斬って捨て,などとは直截には書かれていないのですが,超剣技花断ちLV5を極め,愛する男のため腹をくくった女に対して,友人あるいは神子としてこれまで信頼してきた相手にとまどうばかりの八葉たちがまともに戦えたはずもなく,手始めに親友だった娘さんからずんばらりと斬ったことだけは文章に明らか,結果,決戦は史実と逆転したであろう,平家一門が身を投げる代わりか壇ノ浦へ沈んでいった望美は阿修羅道に落ちたと見えます.裏切りの選択肢が幸福な結末をもたらすとは全く思えなかったのですが,わたしは絶対にこれを選ぶしかないと思ったので,これは勝負であって,神様だかお釈迦様だか知りませんがその勝負の相手も正面からそれに応えてくれたことを本望に思います.

そうはいっても僕は助平なので幸福な結末も見ておきたくて,もう一つの道,奥州編を進めています.壇ノ浦で死んだはずの知盛に似たあの人との日々,それはきっと彼女が壇ノ浦の海底から見る幻燈で,修羅のなか,はるか水面に日や月の映すクラムボンやらやまなしやら.

選択肢というのは選んだきりか選び直したかに因らず,つまり,自ずからセンチメンタルであってね.

疏水太郎