かみちゅ #7

僕の母は僕の姉と同じ県立高校に通っていた.これが不思議だ.僕にとって学校というのは3年か6年だかに一度ぜんぜん違う土地へ飛んでゆくもので,女性だけがこう,何かを受け継いでる.

一度だけ見た卒業アルバムには僕の知らないお姉さんが映ってた.

先日,母が新しい職場へ電車通勤を始めたと聞いて驚いた.僕が小さい頃から見てたママチャリに乗って仕事へゆく姿とは違って,還暦の母がまさにひと巡り若くなったように感じた.

そこは僕が一度だけ連れて行ってもらった城下町で,城内には別の県立高校があって,春には満開の桜が綺麗で秋にはおそらく紅葉が彩るだろう通学路を,毎朝くぐり抜けてゆくという母は,生徒たちに交じって,僕の想像の中では女学生のような絵になっていて大変美しい.

疏水太郎