ポジログ 0.1 インストール上の注意

現状,配布状態のままでは外部からポジログのパスワード等設定ファイルへアクセスできてしまうことへの対策を特にしていません.
ポジログの設置ディレクトリに

AddHandler cgi-script dat spr

と書いた .htaccess ファイルを置くなどして,各自対策をお願いします.

つきましてはよんぱちさん,ご指摘有り難うございました m(__)m

疏水太郎

ポジログ・ソースコード公開

PositLogのソースコードをダウンロード可能としました.GPLです.

こちらから.PositLog version 0.1 (positlog01.zip)

 利用マニュアル

不具合,ご要望等,フィードバックお待ちしております.(メールかコメント欄か上の練習帳にて)

(2006/6/6追記)現状,外部から設定ファイルへアクセスできてしまうことへの対策を特にしていません.
設置ディレクトリの.htaccessに
AddHandler cgi-script dat spr
と書き加えるなどして,各自対策をお願いします.

仕様について何点かコメント.

データベースにSQLiteを使おうとも思いましたが,システムをインストール可能な環境が狭くなるのでやめました.レンタルサーバでも簡単に入れられるようにと,Storableだけでやっちゃってます.よって必要な環境は Perl5.8以上,のみ.様子をみて将来的にはSQLiteへ移行するか,別途SQLite版を作るかします.

ファイルロックなし.ごめん.危険.一週間ばかし出張なので,帰ってきたらなおします.

動的生成.キャッシュなし.はてなからのインポート分はさすがにキャッシュする予定.

PositLogのスプライトで書いたゲームサンプル.スプライトの中にはHTML文書に埋まるもんならたいてい入りますので,JavaScriptを埋めればゲームっぽい世界もつくれちゃいます.まさに,スプライト.サーバ側をいじらずにブラウザだけでプログラミングできちゃうのがミソ.

疏水太郎

ポジログ・ソースコード公開

PositLogのソースコードをダウンロード可能としました.GPLです.

こちらから.PositLog version 0.1 (positlog01.zip)

 利用マニュアル

 練習帳(兼バグレポート)

不具合,ご要望等,フィードバックお待ちしております.(メールかコメント欄か上の練習帳にて)

(2006/6/6追記)現状,外部から設定ファイルへアクセスできてしまうことへの対策を特にしていません.
設置ディレクトリの.htaccessに
AddHandler cgi-script dat spr
と書き加えるなどして,各自対策をお願いします.

仕様について何点かコメント.

データベースにSQLiteを使おうとも思いましたが,システムをインストール可能な環境が狭くなるのでやめました.レンタルサーバでも簡単に入れられるようにと,Storableだけでやっちゃってます.よって必要な環境は Perl5.8以上,のみ.様子をみて将来的にはSQLiteへ移行するか,別途SQLite版を作るかします.

ファイルロックなし.ごめん.危険.一週間ばかし出張なので,帰ってきたらなおします.

動的生成.キャッシュなし.はてなからのインポート分はさすがにキャッシュする予定.

PositLogのスプライトで書いたゲームサンプル.スプライトの中にはHTML文書に埋まるもんならたいてい入りますので,JavaScriptを埋めればゲームっぽい世界もつくれちゃいます.まさに,スプライト.サーバ側をいじらずにブラウザだけでプログラミングできちゃうのがミソ.

スプライトの重なりをつかって,お庭を綺麗にしました.ようやく当初のイメージに近づいてきました.

疏水太郎

ポジログ (4)

メタコンテンツエンジンPositLog開発日記.

(0) 誰でも書き込める練習用ページを作りました.
 練習用ページ

 Wikiみたいなもんです.

(1) 各スプライトにpermlinkをつけました.置き場所を移動しても追いかけます.

(2) ページを追加しました.

(3) ユーザマニュアルを書いたスプライトをpermlinkで指定してみました.permlink先のスプライトはページの左上に表示されます.

permlinkの利用例:PositLog ユーザマニュアル

(4) ページの一番上(top)あるいは一番左,右,下(left, right, bottom)にあるスプライトもURLで指定可能となりました.日記をある順序で並べて書いてゆけば,最新の日記スプライトへの誘導も簡単です.

一番上・下指定の利用例:LittleClover

(5) リスト構造の並び順は,スプライトのY座標によるソートです.ページの一番上に置いたスプライトほど,リスト上でも上にきます.インポートしたスプライトの場合,インポートコマンドを記入したスプライトの位置を用いて計算します.

リストを見る方法:
Firefoxなら「表示」⇒「スタイルシート」⇒「スタイルシートを使用しない」でスタイルシートをオフにしてみてください.もちろんlynxやiモードブラウザで見ると問答無用でリスト表示になります.

本サイトは近々,PositLogへ移行します.

疏水太郎

ポジログ (4)

メタコンテンツエンジンPositLog開発日記.

(0) 誰でも書き込める練習用ページを作りました.

(1) 各スプライトにpermlinkをつけました.置き場所を移動しても追いかけます.

(2) ページを追加しました.

(3) ユーザマニュアルを書いたスプライトをpermlinkで指定してみました.permlink先のスプライトはページの左上に表示されます.

(4) ページの一番上(top)あるいは一番左,右,下(left, right, bottom)にあるスプライトもURLで指定可能となりました.日記をある順序で並べて書いてゆけば,最新の日記スプライトへの誘導も簡単です.

(5) リスト構造の並び順は,スプライトのY座標によるソートです.ページの一番上に置いたスプライトほど,リスト上でも上にきます.インポートしたスプライトの場合,インポートコマンドを記入したスプライトの位置を用いて計算します.

リストを見る方法:
Firefoxなら「表示」⇒「スタイルシート」⇒「スタイルシートを使用しない」でスタイルシートをオフにしてみてください.もちろんlynxやiモードブラウザで見ると問答無用でリスト表示になります.

本サイトは近々,PositLogへ移行します.

疏水太郎

ポジログ (3)

メタコンテンツエンジンPositLog開発日記.

またお庭をふやしました.

ようやくそれらしくなってきたようです.なぜFlashを選ばずクロスブラウザの茨へ向かったのかというのは,こんな風に各地にとり散らかった僕のHTML資源を,元のイメージをあまり変えずにまとめたかったからです.(FlashがGeckoとか積んだら話は別ですが・・・)

おととい描いたシステム構成図.今はこの図よりもプラグインが増えて,はてなダイアリーもパースします.

週末中になんとか配布可能な状態にしたいところ.来週の出張準備もあるのだけど・・・.

疏水太郎

ポジログ (3)

メタコンテンツエンジンPositLog開発日記.

またお庭をふやしました.

ようやくそれらしくなってきたようです.なぜFlashを選ばずクロスブラウザの茨へ向かったのかというのは,こんな風に各地にとり散らかった僕のHTML資源を,元のイメージをあまり変えずにまとめたかったからです.(FlashがGeckoとか積んだら話は別ですが・・・)

おととい描いたシステム構成図.今はこの図よりもプラグインが増えて,はてなダイアリーもパースします.

週末中になんとか配布可能な状態にしたいところ.来週の出張準備もあるのだけど・・・.

疏水太郎

ポジログ (2)

お庭をふやしました.

物事はごちゃごちゃしていないと気が済まないです.リストという考えかたはすばらしい原初の発明だと思いますが,縦あるいは横一列に並べたときに失われてしまうごちゃごちゃを惜しむ気持ちがあって,まるで子どものようだとも思うのですが,どうも苛々して.

ごちゃごちゃというのは,まだ為されていないものだからこそ良く思えたかもしれなくて,構造はやはり美しいので,ごちゃごちゃは間違ってるかもしれないのだけど,判んなくて,それじゃあ,と納得ゆくまでごちゃごちゃぐちゃぐちゃできるツールを自分で作ってみたのでした.

美しい構造への憧れもまだ引きずっていて,CSSをオフにすると実はこの絵図がリスト構造を持つということが判るのです.スプライトとスプライトとの間の関係をリストやグラフ構造としてもたせるか,図や絵柄として表すのみにしておくか.おそらく前者の立場でもうちょっとねばる.

(つかいかたダイジェスト2)
スプライト(四角いコマ)の表示されてない地面をマウスでドラッグすると,視界が移動します.

疏水太郎

ポジログ (2)

お庭をふやしました.

物事はごちゃごちゃしていないと気が済まないです.リストという考えかたはすばらしい原初の発明だと思いますが,縦あるいは横一列に並べたときに失われてしまうごちゃごちゃを惜しむ気持ちがあって,まるで子どものようだとも思うのですが,どうも苛々して.

ごちゃごちゃというのは,まだ為されていないものだからこそ良く思えたかもしれなくて,構造はやはり美しいので,ごちゃごちゃは間違ってるかもしれないのだけど,判んなくて,それじゃあ,と納得ゆくまでごちゃごちゃぐちゃぐちゃできるツールを自分で作ってみたのでした.

美しい構造への憧れもまだ引きずっていて,CSSをオフにすると実はこの絵図がリスト構造を持つということが判るのです.スプライトとスプライトとの間の関係をリストやグラフ構造としてもたせるか,図や絵柄として表すのみにしておくか.おそらく前者の立場でもうちょっとねばる.

(つかいかたダイジェスト2)
スプライト(四角いコマ)の表示されてない地面をマウスでドラッグすると,視界が移動します.

疏水太郎

ポジログ

お庭をつくってみました.

リンクページって1次元じゃどうも並べにくいよね,と思ってて,ずっと昔からこうしたかったのです.

(つかいかたダイジェスト)
(6/1 註: 現在のバージョンでは本手順でアンテナをロードできません.また別のデモページを作成しますので,しばらくお待ちください.)
リンク先,ページの一番下のLoad入力欄にはてなアンテナRSSのURL (http://a.hatena.ne.jp/your_hatena_id/rss)を入れて,Loadボタンを押してみてください.たくさんスプライト(四角いコマ)が表示されます.スプライトの左上角には移動アイコンが表示されるので,そのアイコンをマウスでつかんで,移動してみてください.どういうシステムであるかおよその雰囲気は伝わりますでしょうか.もうちょっと形を整えたらソース公開します.

疏水太郎

ポジログ

お庭をつくってみました.

リンクページって1次元じゃどうも並べにくいよね,と思ってて,ずっと昔からこうしたかったのです.

(つかいかたダイジェスト)
(6/1 註: 現在のバージョンでは本手順でアンテナをロードできません.また別のデモページを作成しますので,しばらくお待ちください.)
リンク先,ページの一番下のLoad入力欄にはてなアンテナRSSのURL (http://a.hatena.ne.jp/your_hatena_id/rss)を入れて,Loadボタンを押してみてください.たくさんスプライト(四角いコマ)が表示されます.スプライトの左上角には移動アイコンが表示されるので,そのアイコンをマウスでつかんで,移動してみてください.どういうシステムであるかおよその雰囲気は伝わりますでしょうか.もうちょっと形を整えたらソース公開します.

疏水太郎

葱問答

羽衣と書いて「はごろも」と読めることをこちらのエントリを見てひさびさに思いだしました.というのも,ういういファンのT.T君と遊びに出かけてCD棚を眺めていた折,まじかるカナンもういういだったのねと僕が驚いてみせたところ,それあなたから教えてもらったんですよと彼に言われ,それがキッカケでういういを気にするようになったのに,ひどいっ,とか言われた日には,前世の記憶の責任をとるような気持ちでういういひと揃え買って帰ったということがあって,それ以来読みがおかしい.まじかるカナンについてはむかしそんなこと話したような話さなかったようなであるけど,実感てのはなんだ,むしろ彼に言われた瞬間に生まれたように思うのです.まるで霊感商法やらを信じそうな話ではありますが,友達が相手だとおおらかにやっちゃうほうが面白いよねってのは,あなたにだってわかるでしょう? なんて,ここは宮崎羽衣の声で読んでね.

僕が葱好きであることはその典型であって,小さいころの僕は葱が好きだったと母が言ったことを僕はそのまま僕の体験として僕の味覚へ反映させているわけで,同じようなことについて苦労している青柳立夏には申し訳ない気がするけどそういうこともあったりするのです.

それはそうと,りるけの育てた波打つような葱畑を目の前にすればカンの強い男なら逃げ出すところであるのに,たしかに道明くんは鈍ちんであったのだなぁ.いつか道明くんを侵略するための兵隊さんたちをそれと判らずに黙々育ててるような,そんな感じがしました.りるけも鈍ちんなので自分が何やってるのか判ってなくて,葱たちだけが夜の畑でひそひそばなし.

疏水太郎

コミュニカシオン・ドゥー

莫迦は道明くんのほうであって,会話において自分が勝手に省略してしまった文脈を察してもらえるものと信じ込んでいるだけだと思われます.このひと5年間東京行ってしまって東京の友達には通じるような話し方でやってしまって,すっかりりるけとは言葉が通じなくなっているのではないかしら.というのも,りるけが彼以外と話すときにはあんな回りくどい会話になってるとは想像できなくて,もちろん僕はおよそ道明くんを介してりるけと会話するのではっきりとは判らないところですが,たとえば彼のことを好きな気持ちについてりるけと灰音さんが二人きりで会話してるところは普通に会話らしく聞こえます.みんなが見ている終業式の舞台でも彼が思うほどには変な振る舞いをしなくて.淡雪もなにげに指摘してましたが,道明くんとりるけの頭んなかっていうのはそれほど変わんなくて,ふつー.おかしいのは個々の頭んなかじゃなくて,道明くんとりるけの間柄のほうね.道明くんはお兄ちゃんぶってわざとえらそうにやってるようでもあるし,りるけはというとお兄ちゃんの前で笑ってなきゃ駄目だって気持ちとか好きとか恋とかいう気持ちでぐちゃぐちゃになりながら道明くんの前にいるわけで,頭まっしろで道明くんの言うことなんてろくに聞いてないんじゃないかと.灰音さんも自分の娘のことバカバカ言うけど,彼女としてはそんな妙な感じになってる二人の会話はネタとして聞いてるしかないわよね.

11番のコーヒー牛乳と13番のコーヒー牛乳はもちろん同じでないとも言えるのですが,そういう解釈を拒む頑なさはなんだ,新手のプレイであるようにも感じられます.仲いいわね!

疏水太郎

コミュニカシオン・ブランシュ

恋い慕うふたりの a sacred story でした.

神秘はすでに風景のなかにあって,子どものころならば僕ら走ったり手をついたり頬をつけたりしたその親しい地面の上に,マンホールやタイルの配置,色の違いの妙はあって,特定のものに触れることやその手順がそのまま誰も知らない僕だけの祈りになったのでした.祈りの形は奇異であるほど良くって,祈りにおいて誰も思いつかないようなことを伴わせたからこそ,もしも叶ったならば,それはほかならぬ自分の祈りによるものだと,信じられるような気がするのです.莫迦なことをと思うかも知れませんが,それは身ひとつ風景のなかにあれば出来ることで,僕らみーんな姿形が異なるのは一つとして同じでない術式をばその身に宿さんがためである,なんてね,神聖さが孤独に極まるときにはそんな風に感じていて,沙緒さんのブランコ術というのはそういうもので.ブランコからジャンプするとか雪のなかに身を投げ出すというのはいかにも子どもっぽいですが,これは沙緒さんが子どもであるというよりは,子どもっぽい振る舞いこそ彼女らの年頃にとって奇異と思われるからで,だから祈りとなるのです.そういう自分にしか判ってはいけない術式を繰り返していると,いつしかその傍にみーが立つようになって,みーは術式を何度も近くで見るうちに,まるで徒弟が親方の技を盗むように,沙緒さんと共同の術式を執り行うことが出来るようになってゆくのでした.このとき,みーが沙緒さんのことを徐々に理解してゆくように見えて,じっさい,沙緒さんがお付き合い前提でみーのこと見てたということには気付いてなかったわけで,共同とはつまり理解を伴わずに昇りつめることができるのです.どうしてそんなことが可能なの?! その目がくらむようなきらきらした様子は,ふたりの術式において唱えられた,コミュニカシオン,という言葉にあって,この言葉へ深い意味を与えるつもりは僕にはなくて,それは相手に触れたいっていう気持ちをちょっと不思議な響きを持つ呪文のような言葉に置き換えてみたというくらいで,神聖さがふたりの間に極まるときには,いかにもそんな呪文を唱えてみたくなるんじゃないかと思うのです.

これがあんまり極まると高いところへ昇りすぎて墜落しそうなもんですが,彼ら彼女ら冗談を重ねる余裕のなかに,再会から結婚へ繋がる地に足のついた展開も折り込み済みであって,優しい.オマージュの厚みについて,僕としては北へ。についてのそれさえ判ってればいいかと思うところで,これは他が判らないので半ば仕方なくでもあるし,そもそも何も判らなくても語ることは多いわけですが,まぁ好みで,それで家族形成を前提としたお付き合いの諸相というような大地感は北へ。のそれでもあります.北へ。と近接する箇所については,北海道と東京,母子家庭へのステイ,女の子のことは一日のおわりに選択されるとか,細かいところでは地下鉄の網棚から運河工藝館まで挙げはじめるとキリがないです.あと北へ。ではないけど春を招くその名とは佐保姫のことかしら.

ともあれ,神聖さという意味においてこれぞ巫女さんというお話でした.あるいは白倉由美のひとが話すと僕の見てないことがたくさん出てくるのかなと思います.

疏水太郎

永久アリス#1-#13

フィクションオブジイヤー.僕らが生まれてから死ぬまでに誕生日を祝う年月と宗教的な物語が伴うように,フィクションの彼ら彼女らはどこから来てどこへ行き,何を祝い何を弔うのだろうという話を誠実に語ればこんな風になるのではないか,と僕は思います.

僕なりの言葉を用いるとすれば,四葉は神話の中へ旅立ったのであるし,永久アリスの#13というのは彼ら彼女らのヴァルハラであったり.そのヴァルハラにおいて,タキオンが「みなさんのーーーーしあわせーをーーいのっていーまーすー」と唄うのには,子安武人はこの科白のための配役かとさえ思わせる,ひょうきんな,不幸をかわしてゆく感じがあってね.いろいろあったとしても,最終回のその先や,僕がいつか今ほどの情熱を持てなくなってしまうその先にも,どこかでこんな風に軽やかに楽しく生きていてほしい,そう祈りたいわけで.

あと,13話かけての兄妹の旅路がとても好きだったわ.こんな妹や兄でありたい.

(追記)高橋なの「そしてキミに会いに行く」にあるような,キャラクターとのふれあいが何らかのかたちでずっと続いてゆく気持ちっていうのを,放映なら放映が,連載なら連載が終わった直後には信じることが難しくて,時間を信用していいのかな.だって,明日にはまた新しいひとを好きになっちゃうんだから.今年でガンダムZZが20周年を迎えていまして,僕は結果として20年の間エルピー・プルを忘れたことはなかったわけで,僕が彼女を知った11歳の頃に出会ったほかのひとたち,友達や先生について覚えていることがそう多くはないのと比べるならば,これはたいしたことであるようにも思うのです.だけどそれはまた次の20年についても同じ程度に起こり得るのかしら,歴史を信じていいのかしら,やっぱり自信がないのだけど,11歳の僕は31歳の僕を予想できなくて,ましてや31歳の僕がどんな風にエルピー・プルのことを想っているのかなんて判らなかった訳で,51歳には51歳なりのキャラクターに対する敬意が,きっと持たれているのだと思いたいです.

疏水太郎

名前,会話

シムーン#1-#4の大好きなとこ.いっぱいあるのですが,とりあえずは名前にまつわる2つのシーンについて,採り上げておきたいです.

#2 より

フロエ「だってあなたすごい! わたし好きになっちゃった.ねぇ,わたしとパルになろう」
アーエル(少し間があって)「ねぇ,ネヴィリルってどこにいるの」
フロエ「(あ……)」(驚いた表情,言葉にならない言葉)

(その後,アーエルがネヴィリルを探して艦内を歩いて行く,その五歩ほど後ろをロードレアモンとフロエが並んで追いかける構図.この間,三人がお互いの顔を見ることはない.)

アーエル「ネヴィリルー?,ネヴィリルはいなーい? ネヴィリルって人いない?」
ロードレアモン「呼び捨てはやめて,お願いだから……えーと,アーエル」
フロエ「ここがわたしたちコールテンペストの整備区画ね」
アーエル「ネヴィリルいないのー?」(と言いながら先へ行ってしまう)
ロードレアモン「(あっ,あっ)」(言葉にならない言葉)
アーエル「いませんかー? ネヴィリルー」
フロエ「ここが食堂,」(前の「ネヴィリルー」とかぶりながら)
フロエ「それからここが舞踏室,」
アーエル「ネヴィリルいなーい?」
(しばらく間が空いて,船首に辿りつく)
アーエル「うわぁあ!」
フロエ「ここが船首展望」

アーエルは人捜しをいいことに何度ネヴィリルの名前を呼んどるんじゃい,っていうのがまずは愛しいところです.ロードレアモンがいうように,呼び捨てることへのためらいが多いその名であるだけなおさらね.

あとフロエの艦内紹介とアーエルの人捜しがかみあわずに平行して進んでくの.出会い頭にとっても気持ちの盛り上がったフロエがアーエルに好意を差し出すのだけど,おそらくアーエルは何を言われたかあまり頭に入らなくて,とりあえずネヴィリルの居場所を聞いてしまうのでした.で,フロエのほうも自分はこれだけ盛り上がっているのに好意の言葉がうまく届かなかったことに不意を突かれて,また別の女の子のことを訊かれたので驚いてしまって(嫉妬というかまずは自分以外の名前を聞いて驚いた感じだよね),よく判んなくなって,ぽかーん,としてしまう.でもそのあとぐちぐちしないで,判んなくたっていいから二人がそれぞれ好きなように喋っている様子はいっそ心地よいように思います.それがついにはね,船首展望へ辿りついたときの発話は第三者的に見ればなんか噛み合ってるようで,「ここが船首展望」とフロエが言うのは,すごい景色をアーエルに見せてやったって風で得意そうに聞こえませんか.たまたま辿りついただけなんですがね.

#3 より

フロエ「あら,パライエッタ,それと……」
パライエッタ「モリナスだ,フロエ」
フロエ「そうそう……モリナスよね,モーリーナース……」
モリナス「おはよう,フロエ」
フロエ「もう,わたし全然人の名前覚えられなくて,」

あとこれも.人の名前覚えられなくって,必然的にモリナスの名前は何度も口にされるのでした.モーリーナースー.

今回はフロエについてでしたが,なんつかどの人のことも好きだなぁ.

疏水太郎

人間讃歌(2)

キャラクターとの付き合いは世話が焼けて大変だから,実世界の人とのイージーな付き合いへ逃避する,ということは相当にありそうです.真正面の付き合いは相手によらず精神をすり減らすものであるからね.

疏水太郎

人間讃歌

キャラクターも人であるから,一日何人何時間も議論して人間中毒となった日には,家に帰ってからもまだ人に会いたいだなんて,キャラクターと話をしたいだなんて思わないことだってあります.さよなら人間.

疏水太郎

始まらない物語

たとえば鍵姫物語において,終わらないアリスについて話すとき,終わる終わらないが取り沙汰されるってことはお話はすでに始まっているので,そりゃ結構でして.ここでお話が始まらないというのは退屈な日常とかいうフレーズに繋ぎたいわけではなく,お話が始まりそうな神聖で高揚するような感じ,菩薩が顕現しちゃうようなその勢いはいつも人間の不意打ちによって躓いてしまうという生煮えのことを言いたいのであって,石川淳の「普賢」っていうのはそういう始まらないお話についてのお話でした.事情は長くて回りくどいのだけれども文章はかえって美しいです.人物像よりもその文章こそがそのまま,ときにフィクションの人々すら遠ざけたいと思う,物憂い昨今の僕の数少ない慰め.

疏水太郎