小さな本棚

部屋が荒れてきたので昨日は漫画本を紙袋2つ(100冊)ほど整理しに出かけました.あとゲームやDVDも紙袋1つほど.だいたい気が晴れないときにものは増えて部屋を散らかして気持ちをさらに乱してゆきますので,機嫌のいい日を待って整理するに限ります.本棚の容量からはみ出たものたちは僕が抱えきれる範囲を超えていると思うのです.漫画本は三段ボックス1つ分で今は残り100冊ばかり.え,100冊もあるの?と思う.理想では30冊くらいを大切に守って生きてゆきたいのだけど,まだ思い切れない.だけど抱えきれない.本棚をざっと眺めれば歴史があって,高河ゆんであるとか昔から好きな漫画家が目立ちます.そこへこうの史代など僕としてはニューフェースがちらほら.そんなふうに増えたり減ったり本棚の生態系で,真ん中はゆっくりと変わってゆきます.

今日は実家に帰っていて,ここにもまた僕の本棚があります.たいていは10年近く前,京都の別の部屋に住んでいた頃に買ったもので,京都で買ったものが今,奈良にあって,僕はそれらを置いてまた京都に住んでいるというのがなんだかおかしいです.さっき須藤真澄の「天国島より」を読み直して,また京都へ持ってゆこうと思いました.須藤真澄といえばかねてより美少女描きですが,あれからいろんな美少女メディアに熱中してきた僕が改めて見るとやっぱり須藤真澄は美少女漫画家でした.じっちゃんばぁちゃんおっちゃんおさかな描くほどに,関西風のきれいなおでん出汁となったのか,少女に味が出てくるのです.

須藤真澄がペンを入れるときの擬音は,その谷折り主線を見たまんまの「つーてん,つーてん」です(天国島より,p.129).僕が保健委員の時,文化祭の展示用パネルにつーてん文字を書いて怒られたという話をいつかしましたが,これは僕が須藤真澄と出会う2年も前の話なので運命だったか.なんて,ほんとは初めて見たときは変な絵だと思ってました.印象は時間をかけて変わってゆきます.

広くない部屋を何度も引っ越ししていると,実家に置いてきたり引っ越し前に整理したりで生き別れの本がたくさん出てきます.僕と本との間に距離をあけると本は動いて,僕についてくるか僕をおいてくか,もしかすると僕の行く手を先回りしてる,とかね.京都に住むのが二度目となった去年から本を部屋に溜め込まないようにしたのは,たぶん,本が自ずから動くと想像するようになったからじゃないかしら.

小説本のほうは漫画本よりもなお大胆にはなれなくて,まだ本棚にぐちゃぐちゃと詰まってます.文字の世界では僕の頭のなかもきっとぐちゃぐちゃ.年内にもう一度本棚の整理をチャレンジしようと思います.

疏水太郎