シスプリ紀元

10年ほど昔のことだったでしょうか.世界がギャルゲーに満ちていると思われた頃のこと,僕にそう思わせていたのはG’sマガジンであって,そして男の子の夢が詰ったようなその雑誌を自分の手元に置いておきたいとまでは思わなかった頃のこと.まず時代はさらにそこから数年を遡るのですが,あんよさんも苦しめられそして見事に乗り越えてゆかれたニフレック(経口腸管洗浄剤.他の製品もあるらしいのであんよさんがこれだったかは判らない)に僕も悩まされていて,検査の前にはいつも相当憂鬱になったものでした.はじめの1リットルくらいは一気に飲めるのですが,その後が辛い.初めて飲んだときに気分が悪くなって吐いたという嫌な記憶もあって,その後も全部飲みきったことはありません.そしてあるとき追いつめられたような気持ちになった僕は,ニフレックを飲むための2時間,ああそうそう,これは2リットルを2時間以内で飲むことになっているのですが,この2時間を乗り切るには,何か癒されるようなもので気を紛らわせれば良いのではないかと考えて,そこでふと脳裏に浮かんだのがG’sマガジン,あれを熟読してみるときっと何か凄いであろうと思ったのでした.それで僕は検査の日にG’sを初めて買ってきて,病院の処置室で女の子満載の誌面を凝視しながら数ページめくる毎にコップへ注いだニフレックをちびりと飲んでいったのでした.あいかわらず全部は飲めなかったのですが,嫌な気持ちは相当マシになりました.それでそれからはいつもG’sがニフレックのお供で.そして,そういう縁がなかったらきっと僕がG’s誌上でシスプリに出会うことはなかったと思われます.

メガミマガジンがあまりに男の子の夢満載だったので,その頃のことが鮮やかに思い出されたのでした.いま,世界はギャルアニメに満ちています,という気にさせられる圧倒的な誌面でね.検査については気分がマシになるとはいえ好きになるわけもなく,僕の検査嫌いはこのためであるのですが,メガミマガジンがある今なら前向きに検討できる気がしてきました,とかなんとか.ていうか早く行きなさいよ.うわーん.マジ嫌.

このへんとか,お腹がぷー,とか.僕も貴重な体験をしたと思いました.

疏水太郎