私のお庭は,広いから

CLANNAD(PS2)ことみ.ここしばらくの間,大変気がふさいでいたのですが,久々に世界が美しいように思えてきたなぁ,というようながっかり具合や立ち直り具合をWebページで公開するのもなんだか久しぶりですわね.

演劇部室にたむろする皆さんの中での一ノ瀬ことみという人の落差が,声のポテンシャルとして確かにそこに存在していました.ポテンシャルなのでそれは話が進むにつれての運動を予想させるものでもあってね.あと藤林が「お姉ちゃん」って言うときの声の感じがなんだかとても胸に響きます.

四十九日で親戚を迎えるにあたって片付けた家は,まずは床が見えるようになったことが大きな成果であって.次に,調度品へ肩をぶつけずに歩けると言うこと,そして,昔みたいに何にもなくて,部屋が明るいということ.時々両親のお客さんが来ることもあってにぎやかだった幼い頃を思い出しました.驚いたのが祖母はジャングル状態のこの部屋を知らなかったということで,祖母がうちに簡単には来られないくらい年をとってしまってからずいぶん経ってしまっていたことが気づかれたのでした.ここはもう十年も二十年も混乱した状態で,お客さんなんか呼べるはずもない状態で,もの凄いタイムマシンを使ってようやく綺麗にしたこの部屋が,祖母にとっては昔見た姿と同じで何の不思議もなくて,それが僕には不思議であって.今思えばもしかすると母は祖母にあの部屋の状態を見せたくなかったのかも知れないです.それにしても完全に片付いたということはなくて,人目に付く場所に置かれた有象無象は法事の日のみお客さんの立ち入らない場所へ押し込められるのでした.そこで押し込めることが可能なスペースが存在することすら,少し前までには信じられないことでした.

法事で僕が家に帰ったら,あ,そうそうバレンタインのチョコ,ということで姉が取りに行ってくれたのですが,ちょっと待て,君はそれでなぜ洗面所のほうへ歩いてゆくのかね.なぜって彼女の部屋からはもはやはみ出すしかないそういう新しい品々は居間に置かれ,法事のため一時,片付けるに当たって人の入らない風呂場のほうへ押し込められたに違いないのでした.そしてデメルの猫の舌げっと.

四十九日のお返し物のカタログのなかにプリザーブドフラワーというものがあって,姉はそれを気に入っているようで事務所に飾っているものの事などいろいろと教えてくれました.まるで生花であるように見える,生花を元にして特殊な薬品で作られた1年や2年は持つというお花だそうで.そんなん長持ちするお花やったら玄関の葉ボタンのほうが好きやわ,と僕は言ってしまって,ああしまったなぁと.

葉ボタンというのは主に花よりも葉が鑑賞される種で,キャベツのような形の色の付いた葉がまるでボタンの花のように見えるのです.花が咲いて散るよりはずっと長く楽しめて,母がお気に入りでよく玄関先に飾られていて,母はもともともっと花らしい花が好きだったはずなのだけど,たぶん毎日,忙しくなって,お花だなんて言ってられなくなってからこういう種を好むようになったんじゃないかと思われます.先日,この葉ボタンを見ていたとき姉が,私はお母さんたちと違って緑の指は持ってないから,私が触ると枯れるから触らんようにしてるねん,という健気なことを言っていたから.僕は緑の指って祖母の自称だと思い込んでいたのだけど,気になって8年前の文章読み直してみたら言ってるのお姉ちゃんやんかー!って判ってね.なんだかそこにとてもこだわりがあるようで.

今度機会が巡ってきたら,プリザーブドフラワーもいいんじゃない,と言ってあげたいのでした.

お庭とかことみの話はこのへんでもまた.

疏水太郎