わたしたちの田村くん(1)

人生は辛いことばかりです.だから「こなかな」同様,語り手を選ぶ話でね.身の回りの苦しいことをいろいろと連想させる話でしたが,田村くんがマンボ!とかあほをやってくれてるおかげでなんとかめげずに彼らの行く末を確かめることが出来たのでした.この話は語り手に恵まれていて,高浦くんとか田村くんの周りにいる男の子たちはみんな,類は友を呼ぶと言いますか,この話の語り手で有り得るような感じがして,例えば「高浦さんちの家族計画」は一見おまけっぽいですが,田村くん以外の語り手がいることによってその共通項が注目される,つまり彼ら男の子たちの語り口にはオーバーアクションが貫かれていて,それが強靱かつ可愛らしいということに気づかされるがため,この本にとって欠かせないです.

念のため贔屓を明らかにしておくと,高浦くんが好きだなぁ.

語呂について言えば「うさぎホームシック」というタイトルが大変お気に入りです.うさぎ年だし,僕.

疏水太郎